正しいリサイクル技術によって環境に負荷をかけずに解体する業者に、安心して廃車を任せられる時代になりました。解体された廃車の部品は、海外に輸出されることも少なくありません。廃車はどのように解体され、輸出されるのかを見てみましょう。再び車として復活することもありますよ。
解体と分別で使える部品を取り出す
フロン類回収の登録をしている業者がフロンガスを回収した後、解体業者が可動チェックを行いながら部品を取り外していきます。外装品やタイヤなどまずは外側から部品を外した後、廃油の処理を行います。
ここで一つ、法令により自動車メーカーや輸入業者に引き渡す部品が発生します。エアバッグです。引き取り先の自動車メーカーなどからは、回収料金が支払われます。
ラジエーターなどオイルをきちんと抜き取った後、エンジンなど内部の重量部品を取り出します。輸出のための部品と専門の処理業者に引き取ってもらう部品などに分別し、解体終了。不要部品などは破砕業者がシュレッダーを行い、シュレッダーダストは自動車メーカーなどに引き取られます。
廃車が海外でよみがえることも
こうして輸出される自動車部品の多くはエンジン部分です。輸出先としては、マレーシアやドバイなどの貿易国が有名。バイヤーが各国から中古の自動車部品を求めてやってくる場所でもあるので、そのまま再輸出といったケースが多いのです。
なお、廃車のつもりで手放したとしても、手直しを受けて復活することがあります。つい10年前まではロシア、ニュージーランド、アラブ首長国連邦の3国が中古車輸出の「御三家」と呼ばれていましたが、今ではチリも優勢です。年式によりケニアやタンザニアといった国でも、日本の中古車が愛されています。
経済情勢によって輸出事情は変わるものの、安心の日本車やその部品は世界からのラブコールが根強く、引く手あまたと言っていいでしょう。愛車が知らない国へ旅に出る、そんなロマンが味わえますね。