「スクラップインセンティブ」という言葉をご存知でしょうか。環境対策のため、そして不況対策のため、各国で廃車を促し新車に買い替えることを促す補助金・減税政策が行われています。それがスクラップインセンティブであり、日本では2009年から2010年に行われた「エコカー補助金」が有名です。廃車と新車の買い替えで補助金がもらえる仕組みについてご紹介します。
日本のスクラップインセンティブ
定められた期間内に新車を購入し、13年を超えた車を廃車にすると普通車・小型車では1台当たり25万円、軽自動車なら12万5000円がもらえたのが、エコカー補助金の内容でした。また、13年未満の車であっても、燃費基準よりもかなり燃費が良い新車に買い替えれば、普通車で10万円、軽自動車なら5万円が助成されました。
このエコカー補助金制度はかなりの人気で、あっという間に予算が消費され、終了したことを覚えている方も少なくないのではないでしょうか。
世界のスクラップインセンティブ
各国でも、同じようなタイミングで多種多様なスクラップインセンティブが始まりました。ドイツでは2009年、9年を超えた車を廃車にして新車を購入したら2500ユーロの補助金が出ることになりました。2500ユーロといえば、相場の変動はありますが、31万円にもなります。実際、かなりの経済効果があったようです。
オーストリアでも、2009年にスクラップインセンティブを導入しています。13年を超える車を廃車にし、少なくともEURO4(ヨーロッパの排ガス規制)に適合する新車を購入すれば、1500ユーロ(約19万円)の補助金がもらえる制度で、ディーラーがインセンティブの50%を負担する仕組みでした。
フランスでは、補助金を出すのと同時に、エコでない車にはより多くの税金を負担させるという政策をとりました。「ボーナス・ペナルティ制度」と呼ばれるものです。課税強化を取り入れたことで、環境保護への取り組みとしての側面が強い仕組みだったといえるでしょう。
スクラップインセンティブは2009年ごろに世界的に発生し、1年ほどで予算消化によりほとんどがその役目を終えました。今後、廃車と新車購入によって補助金が支払われる時代がまた来るでしょうか。もう一度行われれば、自動車業界が一時的ながらも活性化することは間違いないでしょう。