廃車にともなって行わなければならない手続きの一つに、自動車に関する保険の解約手続きがあります。保険の種類は2つ。自動車損害賠償保障法によって加入が義務付けられている強制保険である自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)と、自賠責保険では補償されない部分を補償してくれる任意保険(自動車保険)です。
どちらの手続きも、当然のことながら解約の連絡をしなければずっと支払ったままになってしまいます。しかし、事情によっては継続して入っていた方が得する場合もありますから、廃車にする前に、保険のことをきちんと知りましょう。
自賠責保険は解約か車両入替か判断を
自賠責保険は、交通事故を起こしたとき相手方の負傷に対して支払われる対人保険です。保険料は自動車の種類や契約期間によって違いますが、車検時に次の有効期間までを満たす期間の自賠責保険に加入することが求められますので、通常は24ヶ月、新車購入時は37ヶ月の加入が必要です。
自家用車の自賠責保険は、37ヶ月契約であれば4万円程度もの負担になります。廃車によって自動車を抹消登録すれば、返戻金を受け取ることができます。ただし、保険会社で解約手続きを行った日に有効期限が一ヶ月残っていることが条件です。
自賠責保険証とあわせ、抹消登録の証明書と口座番号などを保険会社の窓口に持参して手続きしましょう。保険規約に基づいて返戻金が計算され、後日振り込まれます。
ただし、返戻金は契約時に支払った金額と比べるとどうしても少なくなります。新たに買い替える車が以前と同じ車種であるなど保険会社ごとの基準を満たした場合には、車両入替が可能です。すでに新たな車を買い求めようとしているときには、車両入替も可能性の一つとして考えましょう。
任意保険を解約する場合は中断手続きを
任意保険は自賠責保険ではカバーしきれない、対物事故や交通事故による自分自身の負傷を補償するための保険です。任意保険を解約する場合も、自賠責保険と同様、保険規約に従って返金されます。すぐに乗り換える場合、解約よりも継続が得になるケースがあることも、自賠責保険と同じです。
ただ、以後数年間にわたって車を運転しないという状況にあるときは、中断手続きを行って中断証明書を発行してもらうことが重要です。任意保険は等級により保険料が違います。保険加入期間が長く、保険事故が少ない人の保険料が安くなるように等級が組まれているため、一度保険を解約すると不利な状況になってしまいます。
廃車後、任意保険を解約する際には、中断証明書を受け取れば通常5年間は元の等級を引き継ぐことができます。入院やお引越し、海外渡航のために愛車を手放す際は、頭に入れておきましょう。